いよいよ7月も中旬です。蒸し暑くなってきました。
今日は夏用の掛け布団「肌掛け布団」の役割と選び方。

そもそも掛け布団の一番の役割はズバリ「保温」です。
睡眠中の無防備な体を冷えから守るためのものです。
だから肌布団の役割も同じく「保温」となります。

夏に保温は必要か


”夏は暑いのに保温が必要なの?”と思う方もいると思いますが
実は夏でも必要です。

一日の内気温が一番下がる時間は午前2時頃~明け方が多いです。
(気候条件によってもちがいます)

体温にも「概日リズム」という一日の高低リズムがあり
一番下がるのは午前3時頃。

この体温と気温が一番下がるタイミングでうまく保温ができないと
目が覚めてしまいます。朝までしっかり眠れない。

ですので一番冷える時間帯を目が覚めないよう保温する、
これが肌掛け布団の役割です。

また近年では気温が上がっていて、防犯対策や騒音対策もあり
夏場は一晩中エアコンをつけているお家が増えました。

エアコンをつけることで室温がより下がり、体が冷えやすくなるため
最近では夏に保温力のある肌布団を選ばれることが多くなっています。

廉価な羽毛肌掛け布団は実際のところ…


保温力のある肌掛け布団の代表的なものに
「羽毛肌掛け布団」があります。

羽毛肌掛け布団は数千円~数十万円まで値段に幅があります。
(数十万円はアイダーダウンの肌布団です)
通信販売などで出ている廉価な商品だと販売価格数千円で

  • ダックダウン50%(ダックの表記はない事も)
  • 充填羽毛重量0.25㎏(側生地も含めた重量表記の場合も)

というものがよくあります。

しかし、このスペックの羽毛肌掛け布団は羽毛の質が低いので
ペラペラで羽毛特有の臭いが強いものがほとんどです。

このような肌布団を寝具メーカーさんなどで見ることもあるのですが
ほとんど布だけです。うっすらフェザー(羽根)感を感じるレベル。

当然保温力など期待できないので
「これを掛けて眠る意味があるのだろうか?」と考えてしまいます。

羽毛肌掛け布団でしたら

  • ダウン85%以上
  • 充填羽毛重量0.3㎏以上

のスペックが欲しいところです。
それ以下のスペックなら、少し重くなっても
「ダクロンわた」や「綿わた」の肌布団を選んだほうがいいです。
私ならそうします。

タオルケットはどうなん?


夏場は「タオルケット」という方も多いと思います。
タオルケットは中わたが入っていません。
パイル(糸の輪っか)部分に暖かい空気を溜めて保温してくれます。

ですのでパイルの目が詰まったタオルケットほど保温力が高いと言えます。

タオルの値段は”匁”という重さで決まります。
同じ面積当たりにどれだけパイルが植えてあるか(たくさん植えてあると重たくなる)
日本製か海外製かなどで値段が変わります。
(最近では今治タオルなどブランド化されたタオルもあるためあくまで目安です)

ですから
値段が高い=重たい=保温力が高いタオルケット

値段が高い=保温力が高いタオルケット
と言えますね。

タオルケットは厚みが少なく、保温力が低いので
”エアコン掛けない派の方”向けだと考えています。

真綿布団ってどんなの?いいの?


最近では真綿布団の人気も再燃しています。
大昔から使われていましたが、
近年その機能性が再認識されています。

真綿布団は

  1. 蚕の繭を引き延ばした角真綿や帽子真綿を作る
  2. それらのシルク片を職人さんが2人で引き延ばして重ねる(商品によっては数十枚から数百枚重ねる)
  3. 引き延ばして重ねたシルクの層を側生地で綴じる

という方法で作られます。
手間がかかるのでお値段はかかります。

その特徴は

  1. 高いフィット性。掛けると体との隙間が空きにくい
  2. 吸湿性と保温性。繭(シルク)は蚕が成虫になるまで外気から守っていますから
  3. わたが片寄らない。薄いシルクの多層構造なので片寄らない

という所でしょうか。
ちなみに”シルク肌布団”は似て非なるものでわたが片寄ります。

本麻の肌掛け布団は?


少々マニアックなアイテム「本麻肌掛け布団」

  • 側生地:麻100%
  • 詰め物:麻100%

の肌布団です。

大昔の”綿わたの婚礼布団セット”には、
夏用の肌布団として本麻の肌掛け布団が付いているものもあったようです。
(昭和の時代で団塊世代が結婚を迎える1970年代くらいにはまだあったかも)

当時、サイズは130×160㎝という”おなかケット”的サイズでして
今でもそのカバーを探しに来店されるお客様がおられたりして
そんな時はお客様と途方に暮れています。そのサイズ、今はないんです。

最近の本麻肌掛け布団は140×190㎝というサイズで作っているものが多く
(とはいえ、本麻肌掛け布団自体が稀少です)
このサイズですと何とかカバーがあります。

本麻肌掛け布団の原料”麻”は熱伝導率が高く、
夏場の火照った体から熱を吸収してヒンヤリさせてくれます。

実は綿も同じくらいの熱伝導率を持つのですが
綿は繊維が細く、よれています。
それに対して麻は繊維が太く表面がまっすぐのなので
接地面積が大きく綿よりヒンヤリするのです。

本麻肌掛け布団の保温力は使った事がないので正直わかりません。
ヒンヤリ系の掛け物なので
エアコンを緩めにかけて寝ることに適していると考えます。

暑がりの方、汗かきの方には本麻特有の吸熱と吸湿吸水性
からおススメです。

麻が涼しい、という事を発見した昔の方は本当に偉大ですね。

これらの肌布団、店頭で実物をご覧になりたい方は当店までお越しください。

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