以前、あるメーカーさんで「こんなの作ってみたんだけど、どう?」と、

とある新型枕(試作品)に対する意見を求められたことがありました。

大きな特徴は、肩甲骨くらいの所からスロープ状に傾斜が付いているまくらでした。

当店は当時から、なかなかの数のオーダー枕を作っていました。
そのため、現場で睡眠に悩むお客様のナマの声を多数お聞きしておりまして…
「ちょっと意見を聞かせて」となったようです。

肩甲骨あたりのスロープはなかなか快適。

素材はウレタン製。低反発とも高反発ともいえる反発力でした。

まくら職人「変わった形ですねー」
まくら職人「ちょっと寝てみてもいいですか?」

と、すぐそこのベッドにおいて寝てみることに。
寝具メーカーさんですから、ベッドなんていくらでもあります。

まずは素直に仰向き寝で…

「おっ、これ気持ちいいですね」

枕をしながら、枕をしていない感覚です。体になじんでいる証拠。

私は背中が出っ張っている系の体型なので
肩甲骨あたりのカーブに試作品枕のスロープがフィット。
体圧分散が出来ているようでした。

あれ?このまくら○○向き寝は?

まくら職人「このまくら、なかなかいいですねー」
まくら「仰向き寝、気持ちいいです」

でも、ふと気づきました
「あれ?このまくら””はどうなるんですか?」

横向き寝の時は、”肩の先から顔の横までの長さ”をまくらで作るのがセオリーです。



↑上の図のAの長さをまくらで作るという事です。

しかし、この試作品枕は肩甲骨あたりまで伸びているスロープが
横向き寝時の肩を押し上げてしまいます。

結果、このスロープ付き枕だと横向き寝時に肩に負担がかかりやすい寝姿勢になります。

メーカーさんもそれはわかっているようで
「んー、そうやなー」と言いながら唸っていました。

販売する側からのリクエストで作ってらっしゃったのかもしれません。

「で、この枕、カバーはどうなるんですか?」

かわった形、しかも普通の枕より大きいので、当然市販の枕カバーは入りません。

メーカーさん「専用のピロケース作るしかないやろうなー。」

まくら「でしょうねー。中身もウレタンでは洗えないですね」

メーカーさん「うんうん。ありがとうございますー」

既定のサイズでない寝具はカバーに苦労する

以前、布団のカバーの話でもちょっと触れましたが(→布団のカバーサイズ
寝具には企業を超えた”既定のサイズ”というものがありまして…
その”既定のサイズ”に合わせて各社カバーを作っています。

そうしないと…

  • A社は掛け布団のシングルがXというサイズで…
  • B社の掛け布団のシングルはYというサイズ。

となってしまいます。
すると、A社の掛け布団にはA社の掛け布団カバーしか合わない、
”エッ?このふとんのカバーってあそこしか売ってないの?”
みたいなことになってしまい、結局A社もB社も消費者も、みんな不利益をこうむります。

さらに、メーカーさんが”変わったサイズの寝具”の生産を中止した場合
当然カバーも生産中止になります。だってもう中身がないのですから。

するとその寝具を愛用していたお客様は、
もう世の中のどこにもないサイズのカバーを探して彷徨うことに。

こういうのって、ちょっと問題だと思うんです。

そんなことないんじゃない?と思われるかもしれませんが
実際ベッドマットとかでは、ちょいちょいある話なんです。

ですから、今のところは”既定のサイズ”から外れた寝具は
できるだけ作らない方がいいと考えています。

この”試作品の枕”もそういったところが気になりました。

仰向き寝だけでも横向き寝だけでもダメ



現在、「人間は一晩に20回くらい寝返りをスムーズに打てるとよい」と言われています。
寝返りというのは仰向き寝から横向き寝へ、横向き寝から仰向き寝へと
寝姿勢を変えることです。

つまり”仰向き寝だけ”でも”横向き寝だけ”でもダメなんです。
どちらにも対応できるように寝具を整えていく事が、気持ちのいい朝を迎える第一歩です。

気持ちのいい朝を迎えてみたい方は…ご相談ください。

当店は広島市中区十日市町でオーダー枕を作っています