羽毛掛けふとんの話(その1)

羽毛掛けふとんの話(その2)

はい、羽毛掛けふとんの話の続きです。 まず、前のページの拡大図をもうちょっと説明しておきますね。

前ページの画像説明をもうちょっと。そして「ダウン」と「フェザー」の違いについて。

羽毛掛けふとんには「ダウン」と「フェザー」が入っています。
重ねて言いますが、前のページの拡大図は「ダウン」のものです。

フェザーはいわゆる「羽根」です。
羽根ペンの小さいヤツ、とイメージして下さい。
この「フェザー」はどんだけタップリ詰めても、全く暖かくありません(笑)コシがある素材なので羽根まくらにでも使えば、まあいいかなというところです。

羽根ふとんが暖かくない、という理由はまた後で。
私は、暖かくない理由は、暖かい理由の裏返しなんじゃないかなと考えていて…ブツブツ(笑)

一方「ダウン」はタンポポの綿毛的な形状をしています。
フワフワでモジャモジャで(笑)え~っと、こんな感じです↓↓

  downball

↑↑これは、羽毛の最小単位「ダウンボール」です。実は、四方八方に延びた毛(ファイバーって言います)がこの塊の中心で一つにつながっています。

前ページのの拡大図は…。

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↑↑この赤丸部分の拡大図です。デジカメの限界まで大きくすると…

  fiber

↑こんな感じです。コレが「ファイバー」と呼ばれる部分です。
もうデジカメ画像では、よく見えませんね(笑)バックの黒い生地の織りが見えるくらい拡大しているんですが…。

前ページの拡大画像は、普通のおうちの設備では見られないものだ、ということだけ認識しておいてください。

さて、いよいよ羽毛掛けふとんの暖かさの秘訣を、語る前に羽毛掛けふとんの違いとは

羽毛掛けふとんって、いろいろな値段のものがありますよね。
同じシングサイズでも、1万円台から、30万円近いものやアイダーダウンの掛けふとんだと200万円前後のものまであります。

aidaduck「いったい、何が違うの?」「羽毛ふとんの値段の違いがよくわからない」という声、羽毛掛けふとんを買いに来られたお客様からよく聞かれます。
でも、実は羽毛掛けふとんの違いは誰でも分かります。
そのコツを少々。ただし、ここでは羽毛の質の違いを見極める方法のみです。

  1.  充填されている羽毛がグースダウンかダックダウンか・産地はどこかを見極める。
    一般的にはグースダウンのほうが高品質で暖かいです。(注:羽毛の最高級品アイダーダウンはダックダウン)グースの記載のないものはダックダウンです。 また、羽毛の産地がどこかを見ましょう。有名どころだとハンガリー・ポーランド・ロシアなどです。記載がなければ、おそらく中国産です。
  2.  品質表示もしくは、下げ札でダウンの品質を見極める。
    羽毛掛け布団本体に縫い付けられている、「品質表示」には必ず「ダウン比率」が記載してあります。(ダウン○○% フェザー××%というヤツ) もちろんダウン比率が高い方が暖かく、高くなります。
    また、近年では「かさ高表示」「ダウンパワー表示(DP)」などで羽毛の品質を表す事にしよう、という流れになっていますが、本体縫い付けの品質表示には記載されていないことが多いです。「かさ高」「DP」ともに数値が大きいほど高品質です。
  3.  実際に触る。
    羽毛掛けふとんの一部を両手で挟んで厚みを見る。 これが一番大事。触ってみないと分からないことがあります。 両手で挟んでポンポンと軽く押さえてみます。高品質な羽毛はボリューム感(詰まっている感)が違います。 このボリューム感が保温性・耐久性に直結します。ほかのふとんと触り比べることで品質の差は必ず分かります。

はい、お待たせいたしました(笑)私が考える羽毛掛けふとんの暖かさの秘訣。

downball

羽毛掛けふとんが、なぜ掛けふとんの素材として普及しているのか?というと、「軽さ」「保温性」「耐久性」に優れているからです。

私の知る限りでは、この3点で「羽毛に勝る素材」は今のところ見つかっていません。

羽毛でふとんを作るとなぜ暖かいか?それは、「ダウンボール」の「複雑な形状とその軽さ」に答えがあると思っています。
ボリュームがある羽毛掛けふとんは基本的にあったかいです。では、同じ”かさ”が出る空気を入れたビニールの風船を掛けたら暖かいでしょうか? 答えはおそらく「寒い」です(笑)。
羽毛の代わりに、空気のみが充填されている場合、ねどこ内の暖かい空気がふとんの外に逃げてしまうからです。 図で表すとこんな感じになるかと…↓↓↓

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「対流」が存分に(笑)起き、せっかく体温で温めた暖かい空気がふとんの外に逃げていきます。

※対流(たいりゅう、英語: convection)とは、流体において温度表面張力などが原因により不均質性が生ずるため、その内部で重力によって引き起こされる流動が生ずる現象である。(Wikipediaより)

それに対して、羽毛が充填された羽毛掛けふとんだと、軽くて複雑な形状の羽毛がふとんの中で入り組んでいます。

ふとんの内部が結果的に小さな空気の部屋で小分けにされて、その小部屋ごとに対流が起きて…↓↓↓

 tairyuuzu2

ねどこの中から外部に熱が伝わるまでに、いくつもの小さな空気の部屋で熱をリレーしていかなきゃならないので、結果的に暖かい空気が逃げにくいんです。

おっし、決まった(笑)えっ?分かりにくい?分からない方、お店に来て聞いてください。お話しますから。

この理屈でいくと、軸が硬く、充填してもスカスカに隙間が空く「羽根布団」つまり、フェザーを充填したふとんは、暖かい空気が逃げやすいので「寒い」ですね。
また、前ページで拡大図を見た「ダックダウン」は”ファイバー”に生えている”毛”が「グースダウン」に比べてまばらなので、同じ理由でグースダウンより暖かくなりにくいです。

また、羽毛の宝石「アイダーダウン」は、”ファイバー”に生えている”毛”が、長くてモジャモジャ(笑)なのでこれも暖かい。
コレが、ふとん工場で羽毛検査員さんと私の意見が合致したお話なんです。

「羽毛の話」長かったでしょう(笑)

はい、もう寝ている人いませんか?(笑)もうちょっとですよ~。 この後は、羽毛の手入れ、洗濯、リフォームの話をさせて頂こうかと思います。興味ある方、またみて下さいね。 羽毛布団リフォームへ→