今年は綿わたのお布団の仕立て替えのお話を多くいただいています。
座布団の仕立て替え出来ますか?という声も。
結論から申し上げますと
「出来ますが普通おススメはしません。わたを見てから考えませんか」という事です。

綿わたの布団のサイクル

以前も書いたように思いますが、綿わたの布団には打ち直しの順番があります。
もしかすると布団屋さんによって違うかもしれませんが、私の知っている限りでお話しします。
どういうことかというと。

  1. 最初に綿わたの掛け布団を新しいわたで作る
  2. 次にその布団を打ち直して敷きふとんを作る
  3. 何回か打ち直した後、最後は座布団のわたにする

という事です。なぜかというと

綿わた布団のサイクルの理由

掛け布団は軽くないと寝返りや呼吸がしにくく
ふんわりしていないと寝床内の暖かい空気が逃げて寒くなってしまいます。
ですので新しい、一番良いわたを使います。

綿わたは使い込むとと新品のわたより嵩が出なくなります。
打ち直ししてもやはり嵩が減るため、以前と同じ嵩を出すには足しわたが必要になります。
打ち直し後は重たいわたになるんです。

ですから、重くなっても大丈夫なように次は敷きふとんに打ち直します。

敷き布団は上げ下ろしする時こそしんどいですが掛け布団ほど使用時に
重さがこたえません。ですから敷きふとんに仕立てなおします。

その後数回打ち直すと、わたが黒っぽく・ボロボロ切れやすくなります。
そうなると、最後は座布団にして終了です。その後は捨てちゃう事が多いかと。

ここまで、綿わたの一生ですね。

※昔はボリュームが出やすい米綿(アメリカ産綿わた)を掛けふとんに
腰があるインド綿を敷きふとんにするのよ、(逆だったかも)という方もおられましたが
最近は産地の指定ができるほどわたがないので難しいです。

座布団のわたは古く傷んだものが多い

ですから、座布団のわたは古くなりダメージを受けているものが多いんです。

お客様が持ち込まれた座布団の生地を開けてわたを見ると
真っ黒のものが多いです。

一見良いわたが入っているように見えても、表面のわたをちぎってみると
内部に黒いわたがはいっていたりします。仕立て替え時にアンコ状に古いわたを入れるからなんです。

ビックリしたのは、中に糸くずなんかが詰まっているものもありました。
中が見えないからって酷い事するなあ、と思ったものです。

古い傷んだわたを仕立て替えするとどうなるかというと、
綿わたをフワっとさせる機械に掛けた時、わたがボロボロ崩れて目減りしてしまうんです。

わたの残りが少なくなるので足しわたが増え、
打ち直して使う意味がなくなってしまうんです。

これがおススメしない理由です。

中には良いわたが入っている事も

しかし、先日も出会ったのですが
座布団の中わたがクリーム色でまっさら、というケースもあります。
※ポリエステルわただと不自然に青白く、ツルツルしています

ご結婚の時に作られた座布団に多いです。ああいった座布団を見ると
作られた布団屋さんが真面目なちゃんとした方だったんだろうな、と想像してしまいます。

そういったわたでしたらもちろん普通に打ち直しして使えます。
先日のケースでは、一緒に出された打ち直しのお布団の足しわたに使わせて頂きました。

わたを見てから考えませんか、という理由はこれです。
先入観で決めつけてはダメだなあ、と先日の仕立て替えの時も思いました。

綿わたの座布団は滑りにくい

わたの性質上
ポリエステルわたの座布団と違って、綿わたの座布団は滑りにくいです。
使うと分かるのですが、ポリエステルわたの座布団はズレてくる感じがあって
座りにくいんです。

使い心地のいい綿わたの座布団、大事に使って下さいね。
もし、打ち直ししようかなと思われたらまずはご相談下さい。
持ち込んでいただいて一緒に中身を確認していただくといいかもしれません。

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