ムートンの生産工程・つづき

ムートンの話・その1へ

 ここからはムートンの毛の加工工程ー仕上げ・組立です。

2.毛の加工工程|アイロン・シャーリング

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ステーキングして柔らかくなったムートン原皮にアイロンをあてて毛を伸ばし、シャーリング加工を施します。
 シャーリング加工は、ムートンの毛先をカットして均一にそろえる工程です。
タオルでもパイル(糸の輪っか)の頭をカットしたシャーリング加工のものがありますね。

 アイロン・シャーリングの加工を何度も繰り返します。
 原皮によっては、ここで破れたりする物も出るそうです。
でも品質のいいムートンを作るために何回も何回も。

 

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 一枚の原皮です。左半分が作業後、右半分が作業前です。

 作業前はクリンクリンな感じ。作業後はモッフモフな感じです。
 実際に触ると、作業前はちょっとざらざらした感じで作業後はなめらかな感じ。肌触りが格段にアップします。

  所詮肌触りじゃん、と思われるかもしれませんが、肌触りのいい寝具は、良く眠れます。
 実験してみると出てくる脳波が違うとか。

 また、「敷き寝具の均一な表面」というのは体圧の分散を考えた際に…非常に大事です。

 

2.毛の加工|染色・脱水・乾燥

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 毛並みを整えたら、品質のいい原皮を選別して染色します。
 おおきな釡で色別に染め上げます。

  「酸性染色」という方法で染めるのですが、処理温度が低いと色落ちしやすくなります。

 ここの原皮はクロムなめしをしているため、比較的高温に強いんです。(←ムートンの話・その1参照)
 他のなめし方法と比べて色落ちしにくいムートンになりますね。

 

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 つづいて、乾燥です。

左の画像アミの部分に洗濯バサミ的な部品で原皮を固定し、アミ部分ごと大きなロースター状の機械に入れて乾燥していきます。で…

バッフィング(革面をサンドペーパーできれいに)

ホコリ落とし・柔軟仕上げ

※アイロン

※※シャーリング
※・※※部分は何回かリピート
で「一枚もののムートン」がやっと完成します。
 手間がかかっているでしょう~。

 追記ですが、ここまでに毛先をカットしてそろえる「シャーリング加工」が何回も出ていることにお気づきでしょうか?

 当然、毛先をカットすればだんだん毛の長さが短くなります。
「毛の密度が高く」「毛足の長い」ムートンが採れるのって天文学的確率なんじゃない?って思いました。

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 あ、そうそう。工場内の階段横に置いてあった染色シャーリングされた後に出たと思われる(色がついているから)のウールの切れ端。

 ちゃんとビニールに入れてあったので気になって聞いてみました。

「これ、捨てるんですか?」
「いやいや。これはね肥料になるんだよ~」
「タンパク質のカタマリだからね」
「へ~。そうなんですね~」

無駄がないですね~ムートンは。

 

whiteboad ムートン工場では、ホワイトボード消しもムートンでした(笑)

貧乏性な私は「ああ、モッタイない」と心の中でつぶやきました。
が、考えようによっては、小さな切れ端も無駄にしてないですよね。

 原料にコストがかかっている、という社員さんの意識が高い証拠かもしれません。

次はいよいよ「仕上げ・組立」です。

3.仕上げ・組立|素材の選別

mutonsiwake 左の画像、散らかっている訳ではありません(笑)ムートンの選別中です。

 完成した一枚もののムートンは、ランク・微妙な色の違いなどで細かく仕分けされます。
 この時、複数の人で作業すると仕分けにバラつきが出るため、作業するのは一人だけ(!!)

 医療用に使われるムートンは、クリンクリン(スプリング状)の毛の物だそうです。

 B格品という位置づけです。
コストの関係もあるんでしょうが、「弾力性が強い」のも床ずれ防止に役立っているそうです。

 ちなみに一番左のオトコマエの方(笑)は、いろいろ説明して下さった方の一人なのですが、ゴルフの石川遼選手と対戦したこともあるとか。
ゴルフの凄腕の方です。本文とは関係ありませんが(笑)
知識も豊富なナイスガイでしたわ~(笑)。ご案内、ありがとうございました。

 そうして、選別されたムートンがコチラ↓↓

yamazumimuton yamazumimuton1 yamazumimuton2

 原皮の等級と毛色に分けて保管します。メッチャ山積みでしょう(笑)

ムートンって割と重さがあるので、毛の密度の低いムートンなら下の方は毛がペチャンコ(笑)になるでしょうね~。
 でもココのはなりません。ちゃんとした毛の密度があるから。

コレがシーツになった時、寝ている人の体重を支えてくれるんですね。そうかそうか~。

3.仕上げ・組立|カット・縫製

 

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 では、いよいよ形に仕上げていきます。

組み立てるムートンシーツに必要な色とサイズを確認しながら、必要なムートンを集めてカットします。
 上の写真はカットした素材を集めた所。後ろに見えている専用のミシンで一枚一枚プロが縫い合わせていきます。

 

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 毛の部分を丁寧に革の間に押し込みながら、裏から縫い合わせていきます。

慣れた方でも1日に20枚仕上げるのがやっと、という世界です。
「時々、指を縫っちゃうんですよー。アハハ」とか言われてました。
いや、それ笑えませんよ~怖いです(笑)

 今後は、ムートンシーツの入荷が遅れても、文句は言いません。
いや、お客さんが待ってたらやっぱり言っちゃうかも(笑)

 で、裏地をつけて完成!!
倉庫に入れて、出荷を待ちます。

 倉庫に行ってみると…。ムートンの山でした(笑)総額いくらになるんだろ?

「ワースゴイ~。これは奈良のヒツジーランドや~(彦摩呂さん風に)」とかつまんない事考えていたら、見慣れた柄のムートンを発見。

 

mutongry

 ウチのオーダーしているムートンだ~!!(最後の10枚を契約してるので間違いないんです)

 なんでも品質表示待ちだとか。(←メーカーさんが印刷して送ることになっています)
 なんか会えて嬉しいわ。早くウチの店においでー待ってるからね~。

3.仕上げ・組立|仕上げ検品・検針

 さてさて、そんなこんなで、出荷の段階に。
 当然ですが、出荷前には検品と検針をします。

kensin


 上画像は検針機です。

いまムートンの座布団が出てきてます。
 あの銀色の門を金属が通過したら…。
 ウチの亡くなったおじいちゃん(よく釣りに連れて行ってくれました。お酒は飲めないけど甘党でね~。)でも起きてきそうな強烈なブザーが鳴ります。

 見逃しっこありません。

ムートンシーツを作るのは大変、は分かったけど…

「ムートンシーツを作るのが大変、なのは分かったけど、高いんでしょ。」
「なんでムートンシーツを使わなくちゃいけないの?」
「5,000円位の敷きふとんでもいいじゃん。」というアナタ。
なんで、ここまで苦労してムートンを作るのか、なんで高くてもムートンが支持されているのか、語ろうじゃありませんか。

え~長くなったので、次のページです。ムートンの話・その3