当店でも好評の真綿(シルク)布団。この「真綿」の国内の数少ない生産地「大洲」を訪ね、

「純国産の真綿布団」についていろいろ考察してみました。

”ものすごくいいモノ”であるのはなんとなくわかるんですが

  • なんで中国産より品質が高いの?
  • 他の真綿布団と何が違うの?
  • なんでこんなに高いの?

などの疑問に答えが出ればいいなー、と思い見学に行きました。

大洲真綿見学シリーズ↓

大洲真綿の生産地見学その2・大洲真綿の歴史と地理を調べてみた

大洲真綿の生産地見学その3・みなさんが作ってくれた当店の純国産真綿布団

一路「国産真綿の聖地」大洲へ。


今回案内して頂く方と岡山駅で合流。
そこから車で瀬戸大橋を渡り…高松あたりから西へ。ひたすら西進。



途中パーキングエリアで昼食をとり、写真も撮りました。←韻を踏んでみた。

移動中の車内から見える景色は…”海と山”が多かったです。

たまたま通った地域がそうだっただけかもしれませんが、
山の中腹に民家がポツポツ建っていたり…。山を削るようにしてミカン畑を作っていたり…。
「平地が少ないなー」という印象を受けました。←これ重要です。

大洲へ着いたのはお昼の13時過ぎ。さあ、いよいよ養蚕家さんのお宅を訪問です。

大洲で最後の2軒の養蚕家・瀧本さん



川土手(肱川だったのかな?)から山手の方へ入り、
しばらく進むと大洲の「ベテラン養蚕家瀧本さん」のお宅に到着しました。

田舎の納屋特有の”懐かしくていい匂い”がします。
わたし、この空気が大好きなんです。



「遠くからよくいらっしゃいましたね」と優しく迎えて下さりました。

瀧本さんは大洲で最後の2軒の養蚕家で、現在76歳!!
ちなみに大洲のもう一軒の養蚕家さんは、瀧本さんのお兄さんで現在91歳!!!

瀧本さんは優しくてお元気な方でしたが、
いつ養蚕家をやめられてもおかしくない年齢です。

”大洲の真綿、いつまで作って頂けるのかな”とちょっと心配になりました。

瀧本さんが語る”養蚕の過酷さ”と”真綿の素晴らしさ”



以下、瀧本さんの言葉です。

  • 「春は”春繭(はるまゆ)”と言って最高のシルクが取れるよ」
  • 「昔はくず繭を使って赤ちゃん用のふとんを作っていて…自分も使ってみたけど、そりゃもう気持ちが良い布団だった」
  • 「昔は年間で8回蚕を育てていたけど、もうしんどいから今は4回しかできないんです」
  • 「育てている期間は、”毎日朝晩2回”桑畑に行って桑の葉をとってこないといけないんです」
  • 「一回脱皮するごとに桑の葉を取り換えるんだけど、成長の遅い蚕はしょうがなく一緒に捨ててしまうんです」

↑わたし、色々な生き物を育てた事がありまして…キンギョを卵から孵したことも何回かあるのですが、
生育の遅い稚魚は、結局成長しきらないことがほとんどなんです。自然って厳しいです。
きっと”生育の遅い蚕”も、続けて育てたところで成虫まで育ちきらないんだと思います。

  • 「だから、成長の揃わない時は、繭を作る所まで育つ蚕が減って取れる真綿の量が少なくなる
  • 「今年の春は、天候不順がたたったのか成長がそろわないことが多いので…とれる量が少ないと思う」
  • 黄色い繭(当店が扱っている大洲の真綿)は特に成長が不揃いになることが多くって、採れる量が少ない」
  • 「ただ、黄色い繭(当店の大洲真綿)はシルク繊維がすごく太くてコシがある。絹糸にできないくらい」
  • 「それだけに、黄色い繭のシルクは布団に使うといい仕上がりになるよ」

へー!シルクの繊維が太いんですね。その黄色い繭の蚕の種類ってなんていうんですか?

「品種のなまえ?なんだったっけ…”たいほうこがね”だったかな。普通の白い繭の品種は”しゅんれいしょうげつ”

それってどういう漢字なんですか?

「…どうだったっけ、次の種屋さん(蚕のタマゴ屋さん)で聞いてみて」

瀧本さんは、そもそも”蚕さん”に対峙しているお仕事ですから、
名前、ましてや漢字なんてさほど重要ではありません。次で聞いてみよっと。

瀧本さんが育てている、蚕さんを見せて頂きました



丁度現在4齢(だったはず)の子たちです。
おー、頑張って育ってるねー。カワイイです。

耳を澄ますと「シャリシャリ」と桑の葉を食む音が聞こえます。



冷えた日用でしょうか、懐かしの石油ストーブが…。

この上で焼いた”もみじまんじゅう”、美味しいんですよね。
あと”デベラカレイ”の干したのをコレで炙って木づちで叩いて、マヨネーズで…熱燗ちょうだい、2合で!
すみません脱線しました。



こんな感じで平台で育っている子たちもいました。



ちょっと手に載って頂いて…思ったよりも力強く、体もしっかりしています。
手触りもサラサラと清潔感があって気持ちいい子です。頑張ってね。

蚕さんが繭を作る装置「ボール巣」を見せて頂きました



今は使う時期でないので、カラですが
これが蚕が繭を作る装置です。

桝の一つ一つに蚕が入って繭を作ります。
蚕は上に登って巣をつくる性質があるので、ある程度上部に蚕が入ると
この装置全体がくるっと回って上部に空き部屋ができます。



瀧本さん

「こうやって両端を針金で吊り下げるんです…。」
「すると、くるくる回ってくれます」

これの名前はなんていうんですか?

「んー、ボール巣」
※いろいろ調べると、回転簇(かいてんまぶし?)・ボール蔟(ぼーるまぶし)と呼ぶことも多いようです



これはそのボール巣の格納庫。
蚕が繭を作る時は天井からこの装置を吊り下げるので…



元気のいい子は天井で繭を作っています。

桑畑も見に行きました



蚕さんのソウルフード、”桑の葉”を取るための桑畑も見に行きました。
桑畑は瀧本さんの”蚕ハウス”から車で5分程度の山の中に。

山の中にわずかに広がる平地一面に桑の木が。



桑の新芽です。

実はちょっとだけ桑の葉を食べてみたのですが…無味無臭で後味が少々青臭い感じ。
ワタクシ、蚕さんにはなれません。

大洲の養蚕の今後

大洲の近くのエリアでは養蚕に力を入れようという動きもあるようで、
養蚕家育成の講習会的なモノもあるそうです。

しかし、そのエリアの方でも”養蚕をしよう”とういう方は少ないようです。

瀧本さんが言われていたのは…

「養蚕を習ってもね”養蚕は桑の木を植えて3年はたたないとお金にならない、キジ肉なら初めて半年でお金になる。”
と言って養蚕でなくってキジ飼育をするものもおるんよ」

と言う事。

大洲真綿の今後は…ちょっと心配です。
いつまで真綿を作っていただけるのでしょうか。



あと、↑コレ↑瀧本さんの養蚕場の屋根です。
決して、新しい建物ではありません。トタン屋根で錆びちゃってます。

国産真綿は高いです。でも瀧本さんのところを見る限り
真綿でガッツリ儲けてやろう、という姿勢ではありません。
「良いものをコツコツ作り続けていく」という方のように思えました。

最後に一緒に記念撮影。



瀧本さんありがとうございました。
これからもお元気で。大洲真綿をお願いします。

愛媛蚕種株式会社さん(八幡浜市)へ


続いて種屋さん(蚕のタマゴ屋さん)の愛媛蚕種さんへ。
愛媛蚕種さんは、いわば蚕のブリーダー。

リクエスト通りに蚕を掛け合わせて、
その品種の子供を養蚕家さんにバトンタッチして育ててもらっているそうです。



レトロな趣のある建物でしょ。

愛媛蚕種さんの建物は明治後期に建てられたもので”国登録有形文化財”に指定されているそうです。
ちなみに”国登録有形文化財”に指定されると、固定資産税が半分免除され、建物の修理費用も国から半分補助が出るとか…。

訪問した時は、蚕にとって微妙な時期だったそうで
冷蔵庫内にタマゴか蚕が居たそうなんですが、見学NGでした。

なので、国登録有形文化財のお姿を少々。





そろそろ”い〇ちこ”CMの物悲しいメロディーが流れてきそうです。



で、前出の蚕の品種名のお話し。
当店にある大洲黄金真綿の品種「たいほうこがね」の漢字を
愛媛蚕種さんの方に聞いてみると…



「…ん。これよ」
へー。ついでに通常種の「しゅんれいしょうげつ」(春嶺鐘月)も出してくれました。

漢字で書くと「大寶黄金」なんですね。

「大寶黄金」は手引き真綿職人の北川茂次郎さんのリクエストで
「大寶」品種「黄金」品種を掛け合わせて作り出された真綿布団用のハイブリッド種。

成長がバラつきやすいため、
途中でダメになってしまう蚕が多い反面、シルク繊維が良質で太いのが特徴です。
「大洲の黄金繭」というブランドシルクの中の一種です。

ちなみに通常種の「春嶺鐘月」は春嶺種と鐘月種のハイブリッドなのですが
「鐘」の字が入った種類は、あの「カネボウ」さんの開発した品種なんだそうです。へー!!



年代物の量り。



卵の分別方法が書いてありました。



孵化後の蚕さんのいわば離乳食かと。
大塚製薬さんが作ってるのは…「カロリーメイト」。
蚕さんが食べるのは…「シルクメイト」←ここテストにでますよ。

合成飼料だけで育つと大きくならない、と言われていたので。
あくまで孵化後の飼料だと思われます。



蚕の種類の写真も。
みんな勇ましく首を持ち上げています。カワイイ。

大洲真綿の生産地見学その2・大洲真綿の歴史と地理を調べてみたへ続く。

当店は広島市中区十日市町の寝具専門店です